このゲームの戦闘は極端に難しい。
攻撃において上段・中段・下段・突きの構えがあり、相手の手を狙い戦闘手段を奪うか足を狙い、相手のスタミナを奪うか直で頭を狙うか。



防御においても相手が攻撃してきた方向に武器、若しくは盾を構えないと防げない。

これを瞬時に判断し操作する。
攻撃してきた瞬間に時間がスローモーションになる演出などこのゲームにはない。


しかも大体相手は3人から多い時で6人位で襲いかかってくる。



そして相手の防具によって自分の使用している武器との相性もある。



金属系の鎧は剣や斧などの刃が付いた武器には強いがメイスなどの殴打系の武器には弱い。

逆に革などの防具は刃が付いている武器には弱いが殴打系武器には強い。


相手の装備している武器によって使い分けることが大切なのだ。


加えてこのゲームは絶対に1対1の状況での戦闘に持っていかないと高確率でどつき回され、2秒程で天に召されてしまう。




だがもう俺は弱っちい農民のヘンリーでは無い。
サディストのバーナード隊長をボッコボコにできるほどステータスを上げてきているし剣の熟練度もカンスト近い。
実戦経験もゼロの状況でステータスだけは歴戦の猛者だ。


颯爽とヒヒーン(盗んだ馬)に跨り、盗賊の潜んで居そうな森の中に入っていく。
途中森の中の地形が起伏に富んできたのでヒヒーンを降り、徒歩で奥地まで歩を進める。


木々の軋む音、風で葉がざわめく音、小鳥の囀り……と、共に下品な笑い声が聞こえてきた。


声が聞こえる方、20メートル先くらいに焚き火の煙が見え、何人かの人影が見える。
アイアンヘルメットを被り、腰を低くし気付かれないようにゆっくり近付いて行く。


相手は5人。
弓兵2人に突撃兵3人、装備は金属製の防具。


しまった……剣しかない。
相性は悪いがこれでやるしかない。


立ち上がり、抜刀。


走りながら上段に構え、こちらに背を向けている弓兵の頭に思い切り振り下ろす。


弓兵は体勢を崩し苦悶の声を上げるがもう一度振りかぶり振り下ろす。


弓兵は糸の切れた人形のように力なく地に伏せた。


突然の襲撃に残りの盗賊は急いで抜刀しめちゃくちゃに斬りかかってくる。


バーナード隊長との訓練のおかげで連撃をいなし、盗賊の顔面に突きをお見舞いする。

その場に蹲る盗賊。

直ぐにもう1人が斬りかかってくるが防御が間に合わず自分の頭に相手の斧が振り下ろされる。

視界は直ぐに真紅に染まる。

出血はしているがやらなければやられる。
下段に構え敵も咄嗟に下段に防御する体勢を見せたその瞬間、素早く中段に構え直し相手の手に斬り掛かる。

敵は剣を落し叫び声を上げながら走り去る。



後ろに振り返った、その瞬間視界が更に真紅に染まる。

背中をもう1人の弓兵に射られた。


ほぼ視界ゼロの中、残りの盗賊は突撃兵と弓兵の2人。


早く、早く勝負をつけないと出血多量でヘンリーが俺が死んでしまう。


突撃兵はレイピアのような刺突特化の武器で攻撃してくるが金属系鎧を着ている俺には痛くも痒くもない。

タイミングを見計らって攻撃をいなし、下段から振り上げ2回で倒れてくれた。


残りは少し離れた場所から射ってくる弓兵に向かってジグザグに走り寄り、頭に2回突きで絶命。


初の戦闘が終わった。
急いで包帯を巻き、錬金術で作ったマリーゴールドの治療薬を飲み、パンを食べる。


体力が回復していき、出血も止まった。


倒した盗賊5人の装備を剥ぎ取り、持てなかった分は馬に積んだ。


防具はそのまま売り、武器は研いでから売る。


ヘンリーにとって初めての実戦、農民頃のヘラヘラしていたあの頃のヘンリーの面影はなく、心無しか眼は虚ろに見えた、剣を見ると相手の血にまみれ、刃こぼれも酷い、着ている防具も傷み、自分と相手の血に染まり今にも匂いが感じられるほどリアルだ。


森を出ると外はもう夕暮れだった。
綺麗な夕焼けだった。
街に戻って暖かい風呂に入ろう。

そして酒場に行って良い酒を飲もう。


確かにこのゲームはコアゲーマーに好まれる仕様が山盛りである。
めんどくさい事が常だし、楽なことはひとつもない。

だが俺はこのゲームを愛している。
人を殺した後に見る夕焼け、街の道端で言い争っている肉屋の夫婦、いつもと変わらない酒場にいる飲んだくれている鍛冶屋の親父。


実の所、俺は既にこのゲームを全クリしている。
だが一向に飽きない。
それは多分本当にこのゲームが性に合っているからだし、何よりこのゲームを愛しているからだ。


引き続きこのブログでもキングダムカムの記事は続けていく。


次回は闘技場での事を書こう。


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ストーリーをクリアしてもやり込み要素はほぼ無限。
というか最早、生活。